たかだ脳神経外科・内科クリニック

茨城県笠間市赤坂に開院。たかだ脳神経外科・内科クリニックのスタッフブログです。

認知症の予防とサプリメント その2

オリンピックも始まり夏本番、暑くなりました。

梅雨のベタベタから解放されましたが、汗だくな毎日です。

 

8月9日(月)-8月16日(月)にかけてクリニックは夏期休診となります。

前後の週は混雑が予想されます。

また普段は土曜日は2診体制ですが、7-8月にかけては1診のことが多いため待ち時間が長くなることが予想されます。

頑張って診療しますが、時間に余裕を持って来院してください。

また待ち時間の間、外出は可能なためスタッフにお声掛け下さい。

 

さて前回の更新より時間がだいぶ空いてしまいましたが、認知症についてです。

 

認知症を予防するためにはどうしたら良いか。

これまでにたくさんの研究がされていますが、その中でランダム化比較試験による認知症予防介入研究を以下に示します。

介入法 対象 年齢 結果
ビタミンE MCI 55-90 改善なし
ビタミンE 健常高齢者 平均66 改善なし
ビタミンB群 健常高齢者   改善なし
DHA 健常者 55〜 改善あり
DHAEPA 健常高齢者 平均70 改善なし
地中海式ダイエット 健常高齢者   改善あり
有酸素運動 健常高齢者 55〜80 改善あり
運動 健常高齢者 70〜89 改善なし
運動 MCI、SCI 50〜 改善あり
複数の予防介入 健常高齢者 60〜77 改善あり

・MCI:軽度認知障害(認知機能の低下はあるが認知症の診断基準は満たさない)

・SCI:自覚的認知機能障害

・地中海式ダイエット:魚、野菜、豆類、果物、穀物不飽和脂肪酸(オリーブオイルなど)を多く食べ、乳製品、肉類、飽和脂肪酸は少なめに摂取し、食事中に中等量のワイン(ポリフェノール)を飲むという食事様式

 

などが効果があると言われています。

一部では上記のビタミンB、E、EPA、カレー(クミン)、緑茶(カテキン)、NSAIDs、少量〜中等量のアルコール等も効果があるとの報告もあります。

 

またサプリメントに関しては以下の3つが日本認知症予防学会が「推奨グレード」を示しています。

① βラクトリン(グレードA:強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる)

→1次予防効果に対する認知症予防効果がある。

 

② Twendee X(グレードA:強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる)

→MCI患者に対する認知症予防効果がある。

 

③ フェルガード(グレードC:行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない)

レビー小体型認知症あるいは前頭側頭型認知症の情動機能を改善する可能性がありうる。

→MCI患者の認知症移行予防効果の可能性が有り得る。

 

ちなみにサプリメントに関しては当院では取り扱っていません。

その他のサプリメント等については科学的根拠は不明です。

 

また認知症の治療薬であるドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンについては、予防のために使用することは科学的根拠はなく、保険適応ではありませんのでご注意ください。

 

これからも、しっかりとした診断、科学的根拠のある治療(もちろん経験なども大切です)、本人や家族にとって安心できる医療を心がけています。

 

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